材料
難加工材といわれる、ステンレスとチタンについて説明します。
熱間圧延鋼板
熱間圧延鋼板は、熱間圧延された厚さ約1.2~数10mmの鋼板です。熱間圧延鋼板の代表的なJIS規格としてSPHC、SPHD、SPHEがあります。圧延後の状態では、黒皮と呼ばれる数μm酸化膜(スケール)に覆われています。加工用に素材として出荷される場合、通常酸洗してスケールは除去されます。
熱間圧延鋼板は製造プロセス上、金属組織の制御が難しいため材料特性のばらつきは大きくなります。冷間圧延鋼板と比較して熱間圧延鋼板は、表面性状及び成形性などの特性は一般的に劣りますが、最近は成形性の改良も進められ、低コスト化のため熱間圧延鋼板への切り替えが進められています。
冷間圧延鋼板
冷間圧延鋼板は熱間圧延された鋼板を酸洗した後、冷間圧延、焼鈍、調質圧延を行って仕上げられています。冷間圧延鋼板の厚さは0.15~3.2mmで、代表的なJIS規格としてSPCC(一般用)、SPCD(絞り用)、SPCE(深絞り用)があります。
冷間圧延鋼板は熱間圧延鋼板と比較して、板厚は薄くて寸法精度が高く、表面性状及び成形性が優れています。そのため、板厚1.2mm(熱間圧延鋼板の下限)未満、板厚精度、表面性状、高い成形性などが要求される用途に利用されています。
高張力鋼板
高張力鋼板は、軽量化・高強度化を目的として、熱間圧延鋼板及び冷間圧延鋼板に合金元素を添加して強度を高めた鋼板です。強度が高くなると延性が低下する傾向があり、強度と成形性のバランスがとれた高張力鋼板の開発が期待されています。
高張力鋼板のプレス成形での課題として焼付きがあります。材料の強度が大きいほど焼付きによる損傷は大きくなります。また、高強度化に伴う降伏点の上昇によりスプリングバックが大きくなるため、寸法精度の確保が難しい材料です。
焼付き
- 摩擦抵抗が急激に増大し、表面温度が上昇
- 表面が融着し、面の肌荒れが生じる
- 金属同士が融嫡して、接触する材料の境界が無くなり、固着する現象
表面処理鋼板
表面処理鋼板は、表面処理の方法により溶融めっき鋼板、電気めっき鋼板、塗装鋼板に分類されます。めっきの種類としては、すずめっき(ブリキ)と亜鉛めっきが代表的です。表面処理には、耐食性・耐熱性・溶接性・意匠性などの特性を付与する効果があり、飲料缶、自動車内外板などに利用されています。
表面処理鋼板のプレス成形性は、基本的に母材鋼板の材料特性によりますが、皮膜の特性の影響も受けます。溶融めっき鋼板の場合は、普通鋼板(熱間圧延鋼板、冷間圧延鋼板)の製造工程とめっき処理における温度条件が異なるため、一般的に普通鋼板より材料特性は劣ります。一方、電気めっき鋼板は、普通鋼板に表面処理での熱の影響は小さく、母材鋼板と同等とされています。また、表面処理鋼板のプレス成形における課題として皮膜はく離があります。
ステンレス鋼板
ステンレス鋼板は、約12%以上のクロムを含有し耐食性を目的とした合金鋼です。プレス成形用としはSUS304のオーステナイト系(Cr-Ni系)とSUS430のフェライト系(Cr系)の2種類が代表になります。オーステナイト系はフェライト系と比較して耐食性・耐熱性・成形性・溶接性に優れており、様々な用途で使用されています。フェライト系はオーステナイト系よりも材料費が安く低コスト化の利点があります。
材料特性としては、オーステナイト系はn値と伸びが大きいことが特徴であり、成形性に優れています。適した加工法の一つに張出し加工があります。フェライト系はr値が大きく深絞り加工に有利な材料特性を有しています。
ステンレス鋼の代表的種類
| 種類 | 記号 | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| オーステナイト系 SUS304 | SUS304 | 一般用として多く使われている。 (化学工業機器、食品製造設備) |
| SUS316 | 耐食性に優れている。(化学工業機器) | |
| SUS310S | 対酸化性、高温硬さに優れている。(熱処理設備) | |
| マルテンサイト系 | SUS410 | 代表的な13Cr鋼 (バルブシート・ポンプシャフト) |
| SUS440C | ステンレス鋼の中で最も高い硬さを持つ。 (刃物・ゲージ・軸受・カム) |
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| フェライト系 | SUS430 | 13Crより耐食性に優れている。 (自動車部品・放熱器・炉の部品) |
| SUS405 | 溶接性を改良した材料。 (化学工業機器) |
純アルミニウム・アルミニウム合金板
アルミニウム系の材料は、1000系の純アルミニウムと2000~7000系のアルミニウム合金があります。アルミニウムは比重が小さく軽量材料として、例えば自動車などの輸送機器に利用されています。
1000系の純アルミニウム、柔らかく延性があります。高強度は得られませんが、耐食性・溶接性に優れています。そのため強度はあまり重要でない家庭用器物などに用いられています。アルミニウム合金は、2000系(Al-Cu)、3000系(Al-Mn)、4000系(Al-Si)、5000系(Al-Mg)、6000系(Al-Mg-Si)、7000系(Al-Zn-Cu、Mg)があり合金元素によって分類されています。強度・耐熱性・溶接性などの向上を目的として各種合金元素が添加されています。
アルミニウム合金(特徴と用途)
| 種類 | 特徴・用途 |
|---|---|
| 2000系 | 破壊靱性、疲労特性に優れている (航空機部品・機械部品・輸送機器) |
| 3000系 | 強度と延性を調節でき、加工性や溶接性に優れている (建材・カラーアルミ・飲料缶) |
| 4000系 | 耐摩耗性に優れている (鍛造ピストン・建材用パネル) |
| 5000系 | 強い強度を有し、溶接性および低温特性に優れている (圧力容器・船舶・磁気ディスク) |
| 6000系 | 強度、耐食性に優れいている (建材用サッシ) |
| 7000系 | 実用材料として最高クラスの強度を有する (主に航空機) |
純銅・銅合金板
銅系の材料は、各特性を高めるために種々の元素が添加されています。銅合金の中で代表的なものとして、黄銅(Cu-Zn)、青銅(Cu-Sn)、白銅(Cu-Ni)があります。
一般的にn値、伸びが大きく成形性は良好です。光沢があり、耐食性・耐疲労特性が良好であるため、電気部品、装飾品などに利用されています。
身近な銅合金
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- 黄銅
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- 青銅
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- 白銅
純チタン・チタン合金板
チタン系の材料は、純チタン、α合金、α-β合金、β合金の大きく4種類に分類されます。チタンは、その比重がアルミニウムと鉄の間にあり、軽量材料になります。表面には化学的に安定な酸化チタン形成されており、高耐食性が大きな特徴です。
材料特性としては、純チタンは常温においても延性を有し冷間加工が可能です。一方、チタン合金は純チタンと比較して、一般的に高強度でありますが延性は小さく加工しにくい材料です。用途としては熱交換器用プレート、医療器具、航空機用部品などがあります。






